今、確かに時代は変わろうとしている。
実際に社会を観ても何となくきな臭くなってきた。しかし、そのことを何でもないようにふるまおうとしている意識を社会に感じる。
過去には恐怖を語って人を集めていた組織が沢山あった。新興宗教やカルト的な組織にそのような傾向があり、出版物を出して支持を集めていた。そして、そういったことに乗せられる人たちが沢山いて、それが今現在も産業のようになっている。しかし、同じようなことをやっていては不必要なエネルギーを使うことになる。
そういったことの問題点も見ながら、さらに時代を冷静に観ると、背景に行き詰まりが目白押しになっていることがわかる。そして、地震や巨大台風が来るぞとか、富士山が爆発するぞということではなく、一人ひとりの人間の中に「これでいいのだろうか?」という気付きが今、湧いてきていることがわかる。過去にも「このまま行っていいのだろうか?」ということはブームのように何度かあったが、さらに深刻にそういった時代を考えている人たちが現れてきている。
たとえば火事が起きる前にネズミやゴキブリが避難するとか、地震の前に動物たちがそれを感知して異常な行動をとるとか、そういったセンサーが人間にもある。さらに長期のスパンでそういったセンサーを人間が持っていることが、何かの不安を感じる人が多くなってきていることにつながっている。
それは、不安をあおって人を集めることとは違う。それは単なる恐怖的な出来事から来ることではなく、時代や価値観が変わろうとしていることの証である。その時代や価値観が変わるときの前触れとしての予感が、人々の中に起き始めているのだろう。
今、世の中に様々な懸念材料があるとして、その懸念材料を今までのような社会の成り立ちや人々の生き方・考え方でてんでばらばらに進んでいったら、そこを乗り越えることはできない。そういったときこそ、人々がつながって、助け合うことが、それを克服する道なのだろう。
まずは国家的、地球的問題点を考える前に、一人ひとりの中に地震の前触れのような予兆が現れており、それに応えていくことがこれから木の花ファミリーが地道にやっていくことであり、その延長に「木の花塾」を開催している。
そこでは一人ひとりを冷静に、かつ安定させて、自らを取り巻く環境的・人為的不安を乗り越える心をつくった後に、その安定した心で時代を観て、新たな価値観の生き方を束ねる核となる人をつくっていく。それはひとつの核というよりも、大きなネットワークの核ということ。その核の中心を成す人を育てていくのではなく、今の時代には、その種を心の中に持っている人がいる。そして、そういった旬を迎えている人がいる。その人たちに目覚めてもらい、それがネットワークしていくための役割を我々が果たしていくことだと思っている。
昔、人間が自然を読み、自然と共に生きたように、今は時代を読み、時代と共に生きることが大切である。そういった投げかけをこれから木の花塾でしていく。今、旬を迎えている人たちがそれを探している予感がする。
それはエコビレッジやコミュニティといった枠を超えて、日本や人類、自然生態系や地球規模のことを意識した人たちがこれから現れてきて、そのネットワークが生まれるきっかけになるということなのである。(宇宙おじさん いさどん)